公開日:2026年7月29日
著者:竹中栄子|aroma aroma 香りの学校 代表
このたびの熊本県での大きな地震により、被害に遭われた皆さま、不安な時間を過ごされている皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、熊本県宇城市と氷川町で最大震度7が観測されました。
気象庁は、揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、特に最初の2~3日程度は強い揺れをもたらす地震に注意するよう呼びかけています。まずは自治体や気象庁などの最新情報を確認し、危険な場所には近づかず、ご自身とご家族の安全を最優先になさってください。
※この記事は2026年7月28日時点の情報をもとに作成しています。
私のいる地域でも大きく揺れました
iPhoneから大きな音で緊急地震速報が鳴り、その数秒後に強い揺れが来ました。
飾っていた写真立てが倒れ、逆さにつるして収納していたワイングラスは、お互いにぶつかってガチャガチャと大きな音を立てました。割れそうだったため、すぐに取り外し、急いで食卓の下へ避難しました。
揺れが収まり、「もう大丈夫だろうか」と思って食卓の下から出ると、数分後に再び警報が鳴り、また強い揺れが起こりました。
直接的な被害がなかった場合でも、繰り返す余震や緊急地震速報の音によって、身体に力が入り続けたり、眠れなくなったり、不安や疲れを感じたりすることがあります。
大きな災害の後に不安や心配が表れることは、特別なことではありません。
厚生労働省も、強いストレスにさらされた後には、程度の差はあっても不安や心配などの反応が表れることがあると案内しています。
今は「頑張る」よりも、安全を確かめること
不安なときに、無理に元気になろうとする必要はありません。
まずは、避難経路や家の中の安全を確認し、倒れそうなものや割れやすいものから離れてください。
海岸付近や損傷した建物、土砂災害の危険がある場所には近づかず、行政から避難情報が出た場合は、その指示を優先してください。
香りを楽しむのは、安全が確保されてからです。
余震が続いている間は、アロマキャンドルやアロマランプなど、火を使う方法は避けてください。
精油には引火性があるため、キッチンや火気の近くでの使用にも注意が必要です。
不安なときは「今、心地よい香り」を選ぶ
香りの感じ方には個人差があります。
「この精油を使わなければならない」と考えず、今の自分が心地よいと感じられる香りを、
一つだけ選んでみてください。
日本アロマ環境協会も、アロマテラピーでは自分にとって心地よい香りを選ぶことが大切だと案内しています。
候補としては、次のような精油があります。
- ラベンダー
やわらかな花とハーブを思わせる香りです。静かな香りを好むときの選択肢になります。 - スイートオレンジ
甘さのある明るい柑橘系の香りです。親しみやすい香りを選びたいときに向いています。 - マンダリン
スイートオレンジよりも穏やかで、甘みを感じやすい柑橘系の香りです。 - フランキンセンス
落ち着いた樹脂系の香りです。静かに呼吸へ意識を向けたいときの候補になります。 - ベンゾイン
バニラを思わせる、甘く温かみのある香りです。粘度が高いため、使用できる芳香器かどうかを確認してください。 - ネロリ
繊細な花と柑橘を思わせる香りです。強い香りを避け、少量から試しましょう。
香りを嗅いで不快感や違和感、頭痛、吐き気などを感じた場合は、すぐに使用を中止し、換気してください。
災害後にも取り入れやすい、簡単な香りの楽しみ方
1.ティッシュやコットンに精油を1滴
ティッシュやコットンに精油を1滴垂らし、顔に近づけ過ぎない位置に置きます。
枕元やテーブルの上など、自分だけがほのかに感じられる距離で使用してください。
精油が直接肌に触れないように注意しましょう。
日本アロマ環境協会では、コットンやハンカチに精油を1~2滴染み込ませて
香りを楽しむ芳香浴法を紹介しています。
地震後は、倒れたりこぼれたりするものを増やさないためにも、
まずはティッシュやコットンを使う方法が取り入れやすいでしょう。
2.芳香器でごく薄く香らせる
電気式の芳香器を使用する場合は、取扱説明書に従い、普段より少ない量から始めます。
香りが強く感じられたら、すぐに電源を切って換気してください。余震による転倒や停電、電気設備の損傷が心配な状況では使用を控えましょう。
3.お湯を使う方法は、安全が確認できてから
マグカップにお湯を入れ、精油を1滴垂らして立ち上る香りを楽しむ方法もあります。
ただし、余震が続いている状況では、熱湯によるやけどや転倒の危険があるためおすすめしません。周囲の安全が確認でき、落ち着いてお湯を扱える状況になってから行ってください。
使用する際は目を閉じ、精油を入れたお湯は絶対に飲まないでください。咳やぜんそくなどの症状がある方は、蒸気が刺激になる可能性があるため控えます。
香りを感じながら、ゆっくり息を吐く
不安が続いているときは、知らないうちに呼吸が浅くなっていることがあります。
香りを無理に深く吸い込む必要はありません。心地よいと感じられる距離に香りを置き、苦しくない範囲で、吸う息よりも吐く息を少し長くしてみてください。
目安として、
4秒ほどかけて吸い、
6秒ほどかけてゆっくり吐く。
これを数回繰り返します。
秒数を正確に守ることよりも、息苦しくならず、無理なく呼吸できることを優先してください。
避難所や共有スペースでは香らせないでください
避難所や車中泊のスペース、職場など、多くの人が一緒に過ごす場所では、精油を空間に拡散しないでください。
香りの好みは人によって異なり、体調や持病によっては香りを負担に感じる方もいます。
日本アロマ環境協会も、避難所は被災された方の生活の場であり、香りが苦手な方への十分な配慮が必要だとしています。
香りを使う場合は、ご自宅や個室など、周囲への配慮ができる場所で、ごく少量を自分のためだけに使用してください。
妊娠中の方、治療中の方、薬を服用している方、小さなお子さまがいるご家庭では、体調や使用量に十分注意してください。違和感や不快感がある場合は使用を中止し、治療中の方は医療機関へご相談ください。
香りは、治療や安全確保の代わりにはなりません
アロマテラピーは、地震による不安や体調不良を治療するものではありません。
不安や不眠、動悸などが強い場合や、日常生活を送ることが難しい状態が続く場合は、一人で抱え込まず、ご家族や身近な方、医療機関、自治体の相談窓口などへご相談ください。
厚生労働省も、災害後に眠れない状態や不安が続く場合には、無理をせず、身近な人や専門の相談員へ相談するよう案内しています。
一日も早く、穏やかな日常が戻りますように
今は、「頑張らなければ」と自分を奮い立たせるよりも、
まずは自分と大切な人の安全を確かめることが何より大切です。
水分をとる。
少しでも身体を休める。
信頼できる情報を確認する。
誰かと声を掛け合う。
そのうえで、ご自宅の安全な場所で、心地よい香りが小さな休息のきっかけになるようであれば、無理のない範囲で取り入れてみてください。
被害に遭われた皆さまが、一日も早く穏やかな日常を取り戻されますよう、心よりお祈り申し上げます。

著者プロフィール
竹中 栄子(たけなか えいこ)
AEAJ総合資格認定校「aroma aroma 香りの学校」代表。
アロマテラピー、メディカルハーブ、フラワーエッセンス、植物療法、調香を専門とし、「植物の力を暮らしへ」をテーマに、佐賀県佐賀市富士町・北山湖のほとりを拠点として講座やワークショップを開催しています。
初心者から資格取得を目指す方、資格取得後に活動の幅を広げたい方まで、一人ひとりの目的や経験に寄り添い、植物の香りや植物療法を暮らし、仕事、地域活動へ活かせる学びを大切にしています。
調香師としては、佐賀県の県木であるクスノキをベースにしたご当地アロマ「佐賀の香り kusu」を調香・プロデュース。地域や企業と連携しながら、佐賀の自然や文化を香りで伝える活動にも取り組んでいます。
講師実績
・aroma aroma 香りの学校 代表講師
・AEAJ総合資格認定校にて資格取得講座を担当
・AEAJ認定アロマテラピーアドバイザー認定講習会 講師
・AEAJ認定アロマハンドセラピスト講座 講師
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー講座 講師
・メディカルハーブ講座 講師
・フラワーエッセンス講座 講師
・佐賀新聞文化センター エスプラッツ教室 講師
・企業・団体・自治体・地域イベントでのアロマ・ハーブワークショップ講師
調香・活動実績
・2013年
ご当地アロマ「佐賀の香り kusu」を調香・プロデュース
・2014年~2017年(4年連続)、2021年・2022年
「佐賀の香り kusu」が佐賀インターナショナルバルーンフェスタ入賞者への副賞に採用
・2016年
「佐賀の香り kusu」が佐賀県ふるさと納税返礼品に認定
・2020年
九州佐賀国際空港プレミアムラウンジ「さがのがら」のエントランスの香りに採用
・2020年~現在
九州佐賀国際空港内 ANA FESTAにて「佐賀の香り kusu」を販売
・2024年
AEAJアロマ大学 福岡キャンパスにて、小浦誠吾氏による「自然の香りを活用した認知症対策とは」講演会後のトークセッションにパネラーとして登壇
・2026年
AEAJ公式Webメディア「sense of AROMA」に、調香・プロデュースした「佐賀の香り kusu」が掲載
保有資格
・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・AEAJ認定アロマセラピスト
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
・AEAJ認定ナチュラルビューティースタイリスト
・AEAJ認定環境カオリスタ
・JAMHA認定ハーバルセラピスト
・JAMHA認定シニアハーバルセラピスト
・JAPA認定アロマ調香コンシェルジュ
・ISA認定メディカルアロマセラピスト
植物の持つ豊かな力と香りの魅力を、一人でも多くの方へお伝えできるよう、これからも学びの場づくりと香りの普及活動に努めてまいります。
