佐賀の県木・クスノキから生まれた「佐賀の香りkusu」|誕生から空港へ届くまで

公開日:2026年8月21日
著者:竹中栄子|aroma aroma 香りの学校 代表

「佐賀の香りkusu」は、佐賀県の県木であるクスノキの精油を主役に調香した、aroma aroma 香りの学校のオリジナルブレンドです。

2014年に生まれたこの香りは、現在、九州佐賀国際空港のプレミアムラウンジ「さがのがら。」のエントランスを彩る香りとして採用され、空港内のANA FESTAでも取り扱われています。

今回は、「佐賀の香りkusu」がどのように生まれ、佐賀の香りとして歩んできたのか、その背景をお話しします。

始まりは、2014年に知った「香りと嗅覚」の研究でした

2014年、テレビ番組『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』に、当時、鳥取大学医学部で認知症研究に取り組んでいた浦上克哉先生が出演されました。

番組では、ローズマリーとレモン、ラベンダーとオレンジという4種類の精油を用いたアロマテラピーと認知機能に関する研究が紹介され、大きな注目を集めました。

もとになった鳥取大学の研究では、認知症の高齢者28名を対象に、朝はローズマリーとレモン、夜はラベンダーとオレンジの香りを取り入れ、認知機能などの変化が調べられています。

この研究や番組をきっかけに、私はあらためて「植物の香り」と「嗅覚」に興味を持つようになりました。

そして、ローズマリーにも含まれている芳香成分の一つ「カンファー」に目が留まりました。

「佐賀にもある」——県木・クスノキへの気づき

カンファーは、クスノキから得られる精油にも含まれる芳香成分です。

クスノキからつくられてきた「樟脳(しょうのう)」は、古くから衣類の防虫などに利用され、日本人の暮らしとも深く関わってきました。

そしてクスノキは、佐賀県の県木でもあります。

「こんなに身近な佐賀の木にも、特徴的な香りがある」

そのことに気づいたとき、県外の植物だけではなく、佐賀にある植物の魅力を香りとして伝えたいと思いました。

「この佐賀の恵みを、もっとたくさんの方に知っていただきたい」

その想いから、クスノキの精油を主役にしたオリジナルブレンド「佐賀の香りkusu」が誕生しました。

2014年、モラージュ佐賀から販売を始めました

「佐賀の香りkusu」を作り始めた2014年当時、私はショッピングモール「モラージュ佐賀」に「生活の木 ハーブギャラリー佐賀店」を出店していました。

そこで、「佐賀の香りkusu」の販売をスタートしました。

最初から空港のお土産品としてつくったものではありません。

アロマテラピーに携わる中で、

「佐賀には、佐賀ならではの植物がある」
「その魅力を香りとして伝えたい」

という思いから生まれた、小さなオリジナル商品でした。

2020年、九州佐賀国際空港「さがのがら。」の香りに

大きな転機となったのが、2020年です。

2020年11月、九州佐賀国際空港の有料ラウンジ「Premium Lounge さがのがら。」がリニューアルオープンしました。

佐賀の風景やものづくり、伝統などを空間全体で表現したラウンジです。

そのエントランスでお客様を迎える香りとして、「佐賀の香りkusu」を採用していただきました。

佐賀を訪れる方を、佐賀の県木から生まれた香りでお迎えする。

2014年に小さく始めた香りが、佐賀の玄関口で使われるようになったことは、私にとってとても大きな出来事でした。

2021年、ANA FESTAでの販売へ

ラウンジで香りを体験された方から「この香りを購入したい」という声が寄せられたことをきっかけに、2021年には九州佐賀国際空港内の「ANA FESTA佐賀ロビー店」で販売されるようになりました。

ANA FESTAのリニューアル時にも、「佐賀の香り~KUSU~」は、佐賀の県木・クスノキから生成した精油を使用した「佐賀ならではの地域・素材にこだわった商品」として紹介されています。

今では、佐賀を訪れた記念やお土産として手に取っていただくだけでなく、海外から佐賀を訪れたお客様に選んでいただくこともあります。

香りは、目には見えません。

けれど、その土地で感じた空気や景色と結びついて、旅の記憶として残ることがあります。

「佐賀の香りkusu」が、佐賀を思い出す小さなきっかけになればと思っています。

北山湖のほとりで、一つひとつ手作りしています

現在、「佐賀の香りkusu」は、佐賀県佐賀市富士町、北山湖のほとりに建つ「aroma aroma 香りの学校」で作っています。

大量生産ではありません。

調香から、小瓶への充填、パッキングまで、一つひとつ私自身の手で行っています。

5ml、10mlのブレンドオイルも、スプレーも同じです。

制作に入る前には自分自身と作業環境を整え、香りと向き合ってから調香を始めます。

効率だけを考えれば、もっと早く、たくさん作る方法もあると思います。

それでも私は、この作り方を続けています。

佐賀の自然を、「香りの記憶」として届けたい

aroma aroma 香りの学校がある富士町には、山があり、水があり、季節ごとに表情を変える植物があります。

その自然の中でつくった香りを、一つひとつ自分の手で送り出す。

それが、「佐賀の香りkusu」を作り始めた頃から大切にしている私のものづくりです。

佐賀を訪れた方には、旅の思い出として。

佐賀を離れて暮らす方には、故郷を思い出す香りとして。

そして、まだ佐賀を訪れたことのない方には、佐賀の自然を知る一つの入口として。

小さな瓶の中に、佐賀らしさを込めて届けていきたいと思っています。


研究情報について

2009年に学術誌『Psychogeriatrics』に掲載された鳥取大学の研究では、認知症の高齢者28名を対象に、朝にローズマリーとレモン、夜にラベンダーとオレンジを用いたアロマテラピーを行い、認知機能などへの影響が検討されています。

本記事は、この研究によって精油や「佐賀の香りkusu」に認知症の予防・治療・改善効果が認められていることを示すものではありません。

アロマテラピーは医療行為や認知症治療の代替となるものではありません。


著者プロフィール

竹中 栄子(たけなか えいこ)

AEAJ総合資格認定校「aroma aroma 香りの学校」代表。
佐賀新聞文化センター エスプラッツ教室講師。

アロマテラピー、メディカルハーブ、フラワーエッセンス、植物療法、調香を専門とし、「植物の力を暮らしへ」をテーマに、一人ひとりのライフスタイルに寄り添った学びを大切にしています。

佐賀県佐賀市富士町を拠点に、AEAJ総合資格認定校「aroma aroma 香りの学校」を運営。AEAJ認定講座をはじめ、アロマテラピー、メディカルハーブ、植物療法、調香に関する講座やワークショップを開催しています。

初心者から資格取得を目指す方、資格取得後に活動の幅を広げたい方まで、一人ひとりの目的や経験に寄り添った指導を行っています。

また、「学んで終わり」ではなく、暮らしの中で実践できること、仕事や地域活動へ活かせることを大切にし、植物の香りや植物療法を身近に取り入れられる学びの場づくりに取り組んでいます。

肩書・経歴

・AEAJ総合資格認定校「aroma aroma 香りの学校」代表
・佐賀新聞文化センター エスプラッツ教室講師

保有資格

・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・AEAJ認定アロマセラピスト
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
・AEAJ認定ナチュラルビューティスタイリスト
・AEAJ認定環境カオリスタ
・JAMHA認定ハーバルセラピスト
・JAMHA認定シニアハーバルセラピスト
・JAPA認定アロマ調香コンシェルジュ
・ISA認定メディカルアロマセラピスト

ホームページ内ブログでは、アロマテラピー、メディカルハーブ、フラワーエッセンス、植物療法、調香、香りのある暮らし、AEAJ資格取得に役立つ情報、講座情報などを、講師としての経験をもとに発信しています。

佐賀・福岡・長崎を中心に、植物のある豊かな暮らしと、学びを仕事や日常へ活かすための情報をお届けしています。

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